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岡山家庭裁判所玉野出張所 昭和38年(家)69号 審判 1963年11月07日

申立人 藤田庄一(仮名)

被相続人 藤田昌男(仮名)

主文

被相続人亡藤田昌男の相続財産である

玉野市宇野字小池之浦○○○番

畑 一三歩

同 所○○○番

畑 一畝二三歩

同 所○○○番地 家屋番号二四五番

木造かわらぶき平家建居宅 一棟

床面積 二六坪三合

木造かわらぶき平家建物置 一棟

床面積 二坪

をいずれも申立人に与える。

理由

本件申立の要旨は被相続人藤田昌男に相続人が存在しないことが判明したので、被相続人の特別の縁故者である申立人に主文記載の相続財産を分与する審判を求めると言うにある。

そこで、当裁判所は当裁判所昭和三七年(家)第七二号相続財産管理人選任審判事件並びに同年(家)第一〇七号相続財産の管理に関する処分審判事件の各記録、筆頭者藤田次郎、同藤田利男並びに同藤田昌男の各除籍謄本および主文記載の各不動産の登記簿謄本をそれぞれ調査し、かつ申立人の審問の結果によると、次の事実を認めることができる。

一  申立人は被相続人の叔父である(被相続人の父亡藤田利松昭和四年三月二二死亡)は申立人の長兄)。

二  主文記載の各不動産は被相続人の兄亡藤田利男が所有権を取得していたところ(上記不動産中、居宅および附属建物である物置は被相続人の祖父亡藤田次郎(申立人の父)の所有名義になつているが、藤田次郎が昭和一四年八月七日死亡したため、藤田利男が法定家督相続人として同年同月一〇日家督相続届出をしている)、藤田利男は昭和一六年四月二八日死亡したため、選定家督相続人となつた被相続人が家督相続し(昭和一七年六月六日届出)、上記各不動産の所有権を取得した。しかし、被相続人は昭和二〇年七月三一日戦死したが、当時被相続人には法定、指定並びに選定家督相続人がなく現在に至つている。

三  申立人は藤田次郎、藤田利男、被相続人の近親で生前は生計を同一にして次郎、利男の療養看護に努めたほか、利男被相続の親代りとして一切の世話をし、上記の者の死後はその墓碑を建立し祭祀を主宰し相続財産の管理、保存、納税の支払をなしてきた。

四  申立人は相続財産の整理のため、岡山家庭裁判所玉野出張所へ相続財産管理人の選任を求め(昭和三七年(家)第七二号事件)、昭和三七年八月三〇日同所裁所によつて玉野市玉○○○○大田嘉一がその管理人に選任された。管理人は同年一〇月六日相続債権申出の公告をなし、更に同人の申立により同裁判所は昭和三八年一月一九日相続権主張の催告をなし(昭和三七年(家)第一〇七号事件)昭和三八年八月一日同催告期間が満了したが、相続人の申出はなかつた。

よつて、相続財産管理人大田嘉一の意見を聞き、申立人を民法第九五八条の三にいわゆる被相続人の特別の縁故者としてこれに主文記載の各不動産を与えることを相当と認め、主文のとおり審判する。

(家事審判官 永江達郎)

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